猿沢池には、西北池畔に釆女神社があります。
釆女というのは宮中で食事の支度をするために召された冠名ですが、その語源が”垂髪女(うないめ)”とも云われ、その妖艶なイメージのように、後には地方の郡司から貢がれた容姿端麗、立てば芍薬、座れば牡丹のような娘を指すようになりました。
しかしその反面宮中で起こる様々な不幸もあったようです。
釆女神社は奈良時代に帝の寵愛を受けていた釆女が、帝の心変わりに嘆いて猿沢の池の畔の柳に衣をかけて投身したのを不憫に思った帝がここに社を建てて霊を慰めたものと言われていますし、祭りもその故事に因んで戦後、春日大社の宮司によってはじめられたものです。
「采女祭(うねめまつり)」はとても艶やかなお祭りで十二単姿の花扇使が御所車で現れたり池の上には花扇が浮かべられたり大変賑やかで美しいものが次々に登場してきます。
南都楽所の雅楽が奏され王朝情緒に溢れる一夜の美の祭典ではありますが、美しければ美しいほど、賑やかであればあるほど、この地で命を絶たなければならなかった多くの釆女の悲哀が感じられます。
昔は、釆女祭りの夜に、この池に足を浸けると冬中しもやけにかからないと言われていました。
これはこの池が竜宮に通じているといわれ、古くから水神信仰もあったように感じます。
今でも理由を知らなくても、水面に足を浸ける若者の姿をみると、釆女の魂も少しは安らぐような、そんなお祭りです。
スケジュール | 17:00 お渡り式 |
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開催日 | |
場所 | 猿沢池 |
住所 | 〒630-8213 奈良県奈良市登大路町猿沢49 |
HP | http://www.kasugataisha.or.jp/ |
34.6813711 135.83095400000002