コラム・豆知識

「奈良に美味いものなし」考 

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奈良にうまいもんなし

80年ほど前、文豪志賀直哉は随筆「奈良」でこう書きました。
その時から奈良県民はまるで魔法にでもかかったように、この言葉に憑りつかれて今に至っています。
「城崎にて」を温泉紀行だと思っている人も、「暗夜行路」を桐灰の新しいカイロだと思っている人も、この言葉は知っています。

しかし私はこれは2つの理由で誤解だと考えます。

ひとつは志賀直哉がとても美味しいもの好きであったこと。
これは彼の本を読んでも、暮らした場所を見ても分かりますが、わざわざ美味なるものを探し求める性格だったようです。
この頃の奈良(といっても奈良市周辺ですが)は、とても外食産業などとは無縁の土地でしたので、やれ東京や大阪などと比べては成り立ちませんし、それこそ城崎でカニを堪能したあとでは愚痴りたくもなります。

もうひとつは、それでもよく読んでみると「美味いものがない!」と怒っているわけではないということです。
「奈良は美味いもののないところだ」と言った後、「わらび餅が美味い」だの「豆腐」を友人に贈ったら喜ばれる」など言っている。
まして、これ自体奈良県の観光課の依頼で書いた文章ですから、その意図は明白です。

「うちのお袋はまったく良い所のない女性だ。かつては奈良小町とか呼ばれていたようだが、今は面影もない。ところがこのお袋が言う事は、なぜか町内のちょっと強面の兄さんでもいう事を聞くし、お袋の立ち居振る舞いを見て桁外れのスケールの大きな女性だという人も多い。私はそうは感じないのだが、そうなのだろう」

こう書くと、これはむしろ自分を落として母親を愛する文章テクニックだと気付きます。
ところが問題なのは、これを奈良県人が引きずっていることです。

しかしそんな人ほど、奈良県で外食する事はもちろん町内で行われる祭事や風習にも無関心な人だと言う事です。
事実和食業界では「奈良では夜の需要がないので、大変経営は厳しくなる」のは常識化しています。
奈良県は平均収入が全国で10位くらいに入るにも関わらず、県内消費は最低レベルだというのがその証左と言えるでしょう。

つまり「奈良に美味いものがない」のではなく「奈良に郷土の美味いものを味わう気がなし」、或いは「奈良に奈良を愛する人が少なし」と言う事なのかも知れません。
静かに周りを見渡せば、本当に美味い物などたくさんあるものです。

  • この記事を書いた人

中島聡


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